能力を高めたいとき

もだえ、苦しみの先にさらなる成長が(中嶋 常幸 日本経済新聞、私の履歴書より)

スポーツをしていて、半年前は負けることがなかったのに、急に勝つことを忘れ、戸惑ってしまうことは、多くのスポーツマンが経験したことと思います。私も学生時代、個人戦で負けが続き、チームの皆に迷惑をかけ、悩んだことがありました。

また、仕事でも、ある課題を与えられ、いろいろ検討してもひらめくものがなく、結局、解決策が見つからず困り果ててしますことはよくあることと思います。

プロゴルファーの中嶋常幸氏は、日本経済新聞の「私の履歴書」の中で、スランプを乗り越える手立てを明確に表現してくれています。

私も、工事現場で、いくつかの課題処理に困り果てたときに、何とか自分で解を見つけることで、一段と技術力が向上した経験があります。

「もがけ」「苦しめ」がスランプ脱出の答え

日本ゴルフツアー通算48勝を挙げ、賞金王に4度輝いた中嶋常幸氏は、日経新聞の「私の履歴書」2019年7月24日のコラムで、スランプ脱出のヒントを語っています。

その中島氏も、強度のスランプに陥ることがありましたが、トレーニング方法の見直しや、いろいろな努力を積み重ねた結果、7年ぶりに優勝を果たすことができました。

その時の体験をもとにした氏の言葉です。

スランプという“先生”の手を借り「新生・中嶋」を作り上げることができた。11月のVISA太平洋でシーズン2勝をマーク。娘の佳乃も婚約忘れがたい1年となった。

後輩プロに「スランプをどうやって乗り越えればいいですか?」と聞かれると、「もがけ」「苦しめ」と言っている。そこにヒントと答えがあり、自分の財産になる

出典:中嶋 常幸 日本経済新聞、私の履歴書より

工事現場での難題解決の苦しみ

中嶋氏のスランプには到底及びもしない経験です。

工事現場の建設で設計業務にあたっていたとき、現場のトラブル解決や、上司からの与えられた難題解決にいろいろ苦しみました。

手っ取り早く課題の答えを見出すためには、同じような経験をした上司、同僚に問いかけ、ヒントをもらうことが有効です。

多くの場合に、これらの方法で問題は解決できるのも事実と思います。

一方、私が現場で経験した、構造物の構築時に生じたトラブルの解決に際しては、そのような経験をした人がなく、自ら解決策を導き出さなければならない状況でした。

事が始まってから、時間が過ぎるのは早く、焦るものの、解決策のきっかけもつかめず、しばらくの間、呻吟していたことを覚えています。

幾日か、そのことばかりを考えていました。眠ってからもその問題が頭から離れることがなく、夢の中でその解決策を探していたような気がします。

数日間、専門技術書をひっくり返したり、やみくもに計算をしたりしていたところ、ふと、ある考えに思い至り、こうすればよいのではという解決策が見つかりました。

そのときは、こんなにたやすく答えが見つかるものかとびっくりしましたが、結局、この解決策が最終案となり、問題を解決することができました。

「もだえ」「苦しむ」ことで得られる技術の向上

中嶋氏も、「もだえ」「苦しむ」ことが自分の財産になると書かれていますが、私の経験でもまさにそうでした。

安易に上司にアドバイスを得て、問題を解決してもそれほど技術力が上がったという意識が持てませんでした。

一方で、トラブル解決のため、数日間、そのことを考え続けたことで、思い、悩めば、いつかは工夫やアイデアが浮かぶものだということを学びました。

会社を経営するようになり、新入社員への最初の挨拶では、必ず、次のように話しています。

「与えられた課題については、まず自分で思い、悩み、解を見出すこと。そのうえで、上司の判断を仰ぐようにすること。それが、自分の技術力を向上させる唯一の方策である」

まとめ

「もがき」「苦しめ」という言葉は、長年にわたって多大な成績を残した中嶋氏だからこそ語れるものだと思いますが、我々、サラリーマンにとっても、その教えは自分を成長させるための貴重な言葉でもあると思います。