モチベーションをアップしたいとき

挑戦し行動することで充実感を得る-社長経験からの教訓-

前のブログ「仕事にかける思いと達成感」で、サラリーマンがわくわく感をもって仕事をする、もしくは充実感をもって仕事をするための対策としての第一段階を書きました。

難題が出てきてもくじけず熱中できるもの、自分をかけることができるものを見つけることの大切さの例を紹介しました。

充実感を得るためには、仕事にかける思いの他に、挑戦するものを見つけ、自ら行動していくことも大切であると思います。

今回は、参考とする出典が前のブログと同様に、池井戸氏の小説“陸王”です。

難題に遭遇したサラリーマンが、挑戦し続けることで、最後に大きな達成感を得ることができた話を紹介しています。

私も、社長になり、社員が挑戦できる仕事のやり方を工夫しました。また、挑戦する中で大切なこととして、自ら考え、判断し、行動する姿勢が大切であることも経験しました。

今回は、池井戸潤氏の作品と私が社長時代に経験した事例から「サラリーマンとして充実感を得るためには、挑戦し、自ら行動することが大切」について紹介します。

仕事の充実感は挑戦することで得られる

小説「陸王」の舞台は、老舗足袋メーカーの「こはぜ屋」です。こはぜ屋では、新たな事業として、ランニングシューズの販売に乗り出すことになりました。

ランニングシューズの開発で、大きな障害となっていたソール(靴の本底)の材料ついても、ソールに関しての特許を持つ飯山が、“こはぜ屋”に顧問として参画することで見通しが立ち、開発が始まりました。

社長の息子、大地は、父親の会社に籍を置きながら、他社に就職すべく面接を繰り返していました。

しかし、シューズの開発に興味を覚え、ソールの加工に時間をいとわず取り組み、開発の当初から飯山を助けてきました。

飯山の手伝いをするまでは、他社に行くことが目標で、父親の会社はその間のつなぎのつもりでした。

ここで紹介する一節は、飯山と一緒になってソールの開発にあたり、昼夜を問わず難題に挑み、解決していく中でその面白さを知った大地が、サラリーマンとして働くことの意味を改めて考える場面です。

こどもの頃から、大地は、家業としてこはぜ屋を当たり前のように見ていた。

しかし、社員となった大地に、こはぜ屋は幼いころから知るのとまるで違う顔を見せた。

百年ののれん、と安穏と構えているように見えた老舗足袋屋は、資金繰りと戦いながら、日々、生き残りをかけて奮闘していた。

その姿はまるで荒海に翻弄されつつもなんとか姿勢を保って浮かんでいる船さながらだ。

大地はその船員の一人だった。

戦いの日々を通じて大地が学んだのは、仕事の醍醐味であり、本当の面白さである。

純粋に何かを作り、人のために貢献しようとする姿勢。ひたすら寡黙でひたむきな作業の連続から学んだのは、挑戦する楽しさだった

(池井戸潤著 陸王)

地道ながらもひたむきに挑戦し続けることで、今の自分に充実感をもたらしてくれていることを、大地は実感するのでした。

難題に挑戦することで得られる充実感

私は、若いときにダムの建設現場で土木構造物の建設に従事したことがありました。

まだ、30代初めの未熟な技術屋でしたが、上司からは、一つの構造物の設計から工事の施工管理も任されていました。

その間、いくつかのトラブルを抱え、難儀たこともありました。そして、構造物の完成が間近に迫ったときに発生したトラブルに遭遇したときには、会社を辞めることも考えました。

しかし、上司から、そのトラブルの解決を解決し、構造物を完成させるという挑戦権を与えたもらうことで、弱気をふり払い、再度工事現場に立つことができました。

トラブルの一つ一つの原因を追究し、解決に向け、同僚、上司の支援を得て、何とか2か月ほどで構造物を完成させることができました。

上司が私を信用し、任せる姿勢に助けられ、何とかその難局乗り越え、私が担当した構造物を完成させることができたことは、技術者として大きな感動と達成感を得るものでした。

この経験から学んだことして、難題に出会っても逃げることはせず、立ち向かうことで、大きな達成感を得ることができることを学びました。

また、上司は、部下に仕事を任せたならば、トラブルが生じても部下を信用し、成果を出すところまで見守るといった姿勢も持つことが大切であることも学びました。

高い目標に挑戦し、自ら考え、判断し、行動することで充実感を得る

私が、土木建築の設計コンサルタント会社の社長を務めていたときの経験です。

若い時の建設現場などでの経験から、会社の社長となって意識したことがあります。それは、社員が大きな目標をもち、自らが責任をもってその目標を達成するところまで、課題を乗り越えながら仕事を続けられる会社の姿勢を重要視することでした。

会社の持続的な成長を目指すため、会社自身が高い目標を設定したこともあり、この目標に向かって社員が一緒になって行動することを目指しました。

社員が挑戦心を持って、日々行動し、会社の高い目標を達成することに向かってもらうことにしました。

社員の目標の基本となる、会社としての目標をまず定めましたが、その目標については、会社が持続的に成長することを目指し、その10年間で達成できるかどうかといった、レベルの高い目標を設定しました。

その会社目標を基本に、各部、そして各部に所属するグループの目標についても、会社目標を達成するための目標を設定するように指示を出しました。

目標を設定した後、どのように各部、各グループが取り組むかは、ある程度の指示を出しましたが、自らの戦略の下で、自ら考え、判断し、行動するという基本方針を出しました。

当初、「こんな高い目標なんか達成できるわけがない」と話をしていた部署も多くありましたが、会社が変わっていくことの大切さを理解してもらう活動を続けるうちに、基本方針を理解する社員が増え、活動が展開されていきました。

しかし、自らが立てた方策が行き詰まることも多々あり、順調に活動が進むようになるにはいま少し時間がかかりました。

しかし、そのような中で、高い目標達成のため、社員は課題の解決に向け、何とか知恵を出し、工夫して取り組み始めました。

そして、小さなことでも成果が見え出すと、社員の顔つきも変わってきたこともあり、

社員が仕事を通して充実感を得ていることを感じることができるようになりました。

池井戸氏の陸王ほどではありませんが、進むべき方向がわかり、その方向の中で出てきた難題を解決することで、少しずつ、仕事の醍醐味を感じるようになってきたのだと思っています。

まとめ

会社の経営者が会社に変革を起こそうとし、その変革が成果を上げたときに感じる醍醐味は、一概には言えない感覚です。

しかし、この醍醐味は、サラリーマンでも経験できることを私も経験しましたし、池井戸潤氏も書いています。

その醍醐味を味わうためには、ある何かを成し遂げようとする高い目標をもち、それをなにがなんでも達成するという挑戦者の意気込みを持つことが大切だと思います。

また、そのプロセスでは、自ら課題を挙げ、その課題に対し、自ら考え、判断し、行動していく勇気がいると思います。